この演技やべー!!!!俳優たちの迫真の演技が観れる映画5選(邦画編)【映画まとめ】

映画の魅力の一つに『出演俳優さんの演技』があると思います。

映画を見る数が増えれば増えるほど『映画の物語としての面白さ』プラス『俳優の演技力=表現力』が楽しみの奥行きとして加わって行くものだと思います。

「俳優さんの演技がダメだと興ざめするしねー」という感情から、「この俳優さんがいれば安心して観れる」や「この俳優さんが出てるからある程度は面白いだろう」という感情が芽生えてくるのもあるかと思います。

しかし正直海外の俳優さんの演技の上手い下手はあんまりわからないので、とりあえずは「役者さんの名演技が観れる邦画」をまとめました。

よろしければご覧ください。

堺雅人 V.S. 山田孝之「その夜の侍」

『この俳優さんが出演していたらとりあえず観てしまう俳優さんランキング』というものがあるとしたら、僕の中での1位は堺雅人さん。2位は山田孝之さんです。

その二人の共演ですから。観ないわけがないです。

演技に勝敗をつけることは余りにも愚鈍で、善悪で言うならば圧倒的に悪なのですが、観終わった時の僕の感想をそのまま表すためにあえて言わせていただくと、この演技勝負、堺雅人さんの圧勝です。

もちろん山田孝之さんの演技も、言うまでもなく非常に素晴らしく、山田さんの持つイっちゃってる感じというか、誰か殺したことあるでしょ?という感じや、この映画においてはどこの地方にもいるヤバイやからの兄ちゃん感がにじみ出ていて素晴らしく。もっと言うと周囲を取り巻く谷村美月さんや綾野剛さん、田口トモロウさん、新井浩文さんもすべて素晴らしいのですが、堺雅人さんだけずば抜けてスゴイんです。

物語を書いたことはありますが演技をしたことはありませんので、具体的なスゴさなんかは正直全然わからないのですが、堺さんは映画においてやっぱり「普通の人」を任されることが多いように思います。

「普通の人」

素人の判断しかできませんけど、難しそうですよねー。でも印象に残りますもんねー堺さんがやると。なんでだろ。

堺さんが昔何かのインタビューで言っていました。

別の人になりきるなんてできませんよ。だって別の人ですもん。

浅はかな僕は「演技する」とは「役になりきる」ことだと思ってました。でも物語を作ることが実は「作る」ということではなく、既に存在しているはずのその物語の正解の形を「模索」していくのと同じように、演技もその役ににじり寄って行くことなんだということなんだと、ハッとさせられました。

「なりきることができないとわかっていながらその正解ににじり寄って行く」だからこそ演技は表現であり、伝えなければ、伝わらなければ意味はないのです。

この映画、あらすじは↓こんな感じです。

主人公(堺雅人)はある日、奥さんをひき逃げによって亡くします。しかしその犯人(山田孝之)は数年で刑期を終えて出所します。全然反省の色がないのに。法律に守られた状態で。その日から犯人のもとに届く差出人不明の、復讐へのカウントダウンを告げる手紙。主人公は奥さんの命日に犯人に復讐しようと、決意を固めてた。

(余りにも語りたくて、この↓若干のネタバレです。)
最初のシーン。炎天下の中、堺雅人が犯人を尾行しているシーンから始まります。汗だくで追いかける、鬼気迫る堺雅人の手からぶら下がるスーパーのビニール袋から突き破り飛び出ている包丁の刃。

それを観た僕の心は「なんだこれは」です。
(↑ここまで、若干のネタバレです。すいません。)

最初から最後まで、堺雅人さんには何かが取り憑いています。公開初日の舞台挨拶で「若干のトランス状態にあったというか、自分ではコントロールのできない状況に持って行っていただけた(監督に)と感じました。」おおよそこんなようなことを言っていました。

話としては正直そんなに面白いものではないというか。観た友達のお母さんは「気分が悪くなった」と言っていたそうです。確かに少し不快になる表現もあるかもしれません。

ただこの話に漂う、孤独を抱える社会と、矛盾については、しっかりと向き合わなければならないものといいますか。誰も知り合いのいない土地に一人でほっぽり出されたことのない人にはなかなかわからない部分なのかも知れません。と言っても僕も本当の孤独に出会ったことはまだありませんが。

しかしとにかく、堺雅人さんの取り憑かれたような演技を観たい方にはオススメの映画です。


妻夫木聡の演技力が化けた作品「悪人」

↑なんて偉そうなこと言ってますが、演技の良し悪しがわかる訳がなく。しかし僕がこの映画で初めて妻夫木くんを観た時「誰だこの俳優…あっ妻夫木くんか。えぇっ!?」となったのを覚えています。

あるきっかけで人を殺してしまった男(妻夫木聡)と、その男を愛してしまった女(深津絵里)。殺された娘と残された家族と、事件に関わってしまった男と。人殺しの家族と。それぞれの置かれている状況を描くことでえぐり出す善と悪と人生の悲劇と運命と、愛の形。

↑あらすじはざっとこんな感じですが。何書いてるかわかりませんね。とにかく、一つの殺人事件とそれを取り巻く人々の姿を描いています。

当時深津絵里さんがモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞したことでかなり話題になりましたが実際に観ると僕としては妻夫木さんの方がとても印象に残りました。

地方の街の持つ閉塞感と、そんな暮らしや生活から抜け出したいけど抜け出せない青年。決して輝いているとは言えない自分自身とのコンプレックスや境遇に対する鬱屈した感情。それらがないまぜになって放たれている匂いとも言える空気感が、妻夫木くん演じる青年から漂っています。

恐らくそれらは歩き方や仕草の一つ一つからなんとなく感じるものの集合体であるのかも知れませんが、↑の予告編の妻夫木くんでさえ、もう既に僕たちの知っている妻夫木くんとはどこか、表情がちがいます。

この映画で俳優として一皮も二皮も剥けたことを感じました。偉そうにも。

映画としてもとてもいい作品です。「誰が悪人なのか」とか、そんなわかりやすいテーマではないところも好きです。

ちなみにこの後の妻夫木さん主演の映画「マイ・バック・ページ」もオススメです。一皮向けた演技を妻夫木さんがサラッとしているのを観て、人間は何歳になっても成長できるんだなぁと感じました。偉そうにも。

永作博美が放つ『匂い立つほどの母性』「八日目の蝉」

もうこの映画に関しては言うまでもない傑作ですが。

あらすじを書くと↓

主人公は、父親の不倫相手に赤ちゃんの時に誘拐され、4才までその誘拐犯を本当の母親だと思って育った女の子。大学生になった彼女がその日々を振り返ることで現在と過去が交錯しながら物語は展開していく。再生へと向かうための、珠玉の物語。

この年の作品賞、主演女優賞をいくつも受賞した魂を揺さぶる傑作です。

覚えているのは日本アカデミー賞の授賞式の時、司会の深津絵里さんが永作博美さんの演技を評する時に

「匂い立つような母性」

と表現していたこと。

映画後半、2人は小豆島に行き着き、そこで奇跡とも呼べる平穏な日々を過ごしますが、2人は「マジの家族」になってしまうんです。いやっ誘拐犯とその誘拐された子のという意味ではなく。フィクションの中の出来事なのに、どう見ても永作博美さんの子供なんです。子供が母親を見る姿も、母親が子供を見守る姿も全て。

だから最後の別れのシーンは涙ボロボロボロボロ。善と悪で言ったらずっと悪のはずなのに涙ボロボロボロボロ。

いやー俳優さんって本当にすごいですね。

ちなみに「お前ら本当の家族ちゃうんか!」と思ってしまう映画で言うと「そして父になる」もすごいですね。

これは子役の演技を引き出す是枝監督のすごさもあるかも知れませんが。

しかし、「八日目の蝉」の成島出監督もすごいんです!!

演技経験のほとんどない15才。藤野涼子が観せる熱い涙「ソロモンの偽証」

あんまり注目される方ではないのかも知れませんが、僕はこの成島出監督がすごい好きなんです。と言っても全部の作品を観た訳ではないのですが「うわっ、この作品濃厚で説得力すごいなぁ」と思うと成島出さん監督作品だったりしました。他にも「孤高のメス」なんかもオススメです。

「八日目の蝉」の話に戻りますが、作品を生み出す時の作る側の仕事は『どれだけその作品を理解できているか』でクオリティが変わってくると思います。

よく、俳優さんの着る服が着せられていたり、やけにキレイだったりして不自然な印象を受けることがあります。(作品によっては全然キレイでもいいものもあります。若者向けの恋愛映画だったりとか。)それは監督さんが作品を理解できていないから起こることだと思っています。

黒澤明監督が開けもしない押入れの中に布団を入れさせたというのは有名な話ですが、作品を理解することで映画を作っていく。模索していくという見地に立って見ると、やはり「そういう部屋」という理解のもとに模索している以上はその押入れの中に布団がないと納得いかなかったんじゃないかと思います。うん。多分。もしくは単なる変人か。

「八日目の蝉」のあるシーン。主人公の本当の家族の家のリビングで話をしているシーンの奥にかすかに移るキッチン。そのキッチンはまるで一人暮らしの大学生の男の部屋のように流しの部分の引き出しの取手にスーパーのビニール袋がぶら下がり、その中にカップラーメンとかのゴミが見えます。

「あぁ、このこの家庭は崩壊しているんだな」という印象が見事に伝わって来ます。

「おそらくこの監督はこの家の映っていない全ての部屋の様子も理解しているんだろう」とも思いました。

画面の端々にまで神経を行き渡らせることのできる、稀有な監督だと思います。

そして演技指導に関しても恐らくすごいのでしょう。ここら辺は正直よくわかりませんが。

この「ソロモンの偽証」に出演する生徒役は『日本映画最大規模』とされた半年間のオーディションを行い、約1万人の中から選出。演技経験を問わず選定され、本作が初出演作となった者も少なくないそうです。

そして見事選ばれた主演の藤野涼子さん。メチャメチャいいんです!

滲み出てくる凛々しさ。熱い涙。

ちなみにこの作品には富田望生さんも主要キャストとして参加しています。

この方もすごい!と言うか生徒さんみんな良い!

特に富田望生は最近テレビでもよく観るようになり、注目が集まっていますが。

この2名をはじめ、これから日本映画やドラマで活躍する方が間違いなくこの映画からたくさん出てくるだろうと思います。

そこにはやはり成島出監督の演技指導の成果が大きくあるのではないかと思います。

本木雅弘が醸し出す、高貴とも言えるオーラ「日本のいちばん長い日」

この映画を観ている途中、僕は何度も「すごいものを観ているな」と言う感慨に襲われました。

それは素材、題材はさることながら、監督やスタッフ、キャストも含め、全てが最高峰の人材によって形成されていることを感じての感動でした。

1945年。終戦へと向かう、言ってみれば「日本」が主人公とも言えるこの作品。玉音放送を行うまでの経緯が描かれている。

というのがまあ、あらすじなのかも知れませんが。これに関してはもう観ていただくしかないです。

しかし、実在の人物を演じるっていうのは一体どういう気持ちなんでしょうね。

ましてこの映画で本木雅弘さんは天皇様を演じています。なんというか、恐れ多いというかなんというか。その怖さは素人には想像すらできません。

しかし本木さんはその役目を、生まれ持ったものなのか、アイドル時代に築いたものなのか、醸し出る優雅さで見事に演じています。素晴らしいです。

正直この映画、誰が日本アカデミー賞獲ってもおかしくないような素晴らしい演技をされていて、役所広司さんや山崎努さんなども素晴らしいのですが、僕は特に松坂桃李さんの演技に惹かれました。

戦争続行へと向かいたい。英雄になりたいという自分の名誉欲にだけ駆られているような若さゆえの危ない青年。「陸軍の暴走」をそのまま体現したようなすわった目をした青年。素晴らしかったです。

ちなみに本木雅弘さんの演技で言えば「永い言い訳」も素晴らしいです。大人の男のコンプレックスと周囲の目を気にしてばかりの虚栄心の塊みたいな醜態を見事に演じています。

作品レビューは↓こちらにありますのでよろしければご覧ください。

『自分の生き方を省みてしまった』-西川美和監督「永い言い訳」【映画レビュー(後半若干のネタバレあり)】

いやぁ、本木雅弘さん。素晴らしい俳優さんですね。

 

 

いかがでしたでしょうか。邦画ですと、正直他にも多々見つかって来そうですので、またいつか書けたらと思っています。

ひとまずはまず【洋画編】を仕上げてから。

愛と幻想と独断と偏見が入り混じったものになりましたが、大目に見ていただけると幸いです。

読んでいただきありがとうございました。

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