『類稀な才能を持った、心に浸み入る歌声』 – adieu[上白石萌歌]「adieu 1」【アルバムレビュー】

世の中が年末に向けて忙しくなり始める少し前、待望しすぎて待ちくたびれていたアーティストのCDが発売されました。

adieuこと上白石萌歌さんの1st Mini Album「adieu 1」です。

僕がadieuさんのことを好きになってたのは夏の終わり頃です。YouTubeのおすすめに「強がり」という曲が上がってきたのが始まりでした。

ドラムで始まるイントロにシンプルで歪んだギター。オルタナティブなアレンジに染み入るような…言ってみれば普通の女の子のような歌声。歌い方。

一瞬で好きになりました。

でもこの女の子どこかで見たことあるな…と思ったら上白石萌音さんの妹の上白石萌歌さんだったんですね。ほほう…。

しかし彼女が誰の妹であろうと関係なく、その歌声はどこまでも魅力的で、今でもこのミニアルバム「adieu 1」にどハマりしています。

今回はその魅力を語りたいと思います。

澄んだ水のような歌声と、飾らない歌い方。

澄んだ歌声というと空気のようなイメージを持つかと思いますが、空気というよりはしっかりと芯のある厚みのある重みのある歌声で、言ってみれば澄んだ水のような声だと僕は思っています。

もうここからはすいません。ただ何かに例えて言いたい僕のエゴですが、僕はadieuさんの歌を聴いていると、夜通し降った雨の上がった明け方。まだ太陽の上がる前の、濡れた地面と空を思い浮かべます。

明け方の空ではなく、雨上がりの明け方の空なんです。やはりどこかに水を含んだイメージなんですかね。うん。忘れてくださいこれは。

僕が感じるadieuさんの魅力は、歌い方にもあります。

決して自己主張を感じないシンプルな歌い方。『私歌うまいわよ』感が全然ない。歌に、メロディーに身を任せるのが好きなんだろうなと感じる、無垢な歌い方。

しかし、ただシンプルに歌うと平坦な印象になってしまいますが、歌い方ではなく、歌声の質を変えることで感情の起伏を表現し、だから嫌味なくすっと心に入ってくる。…んだと、僕は思っています。

兎にも角にも素晴らしいです。

そんな彼女の魅力は、シンプルなアレンジからも引き出されていると思います。

音数の少ない隙間を生かしたアレンジ。

adieuさんの総合的なプロデュースは、クレジットを見るとどうやら東宝ミュージックの音楽プロデューサー北原京子さんのようですが、サウンド面のプロデュースはTokyo Recordingsが行なっており、今回のミニアルバム全曲のアレンジに関わっています。

特に1曲目の「強がり」と4曲目の「天気」は作詞作曲もTokyo Recordingsの小袋成彬さんがしています。

今回のアルバムには収録されませんでしたが、まだadieuさんが自らを上白石萌歌であると正体を明かす前にリリースされた1st Single「ナラタージュ」の中に収録された「花は揺れる」も作詞作曲は小袋成彬さんがしています。

僕、小袋成彬さん大好きなんです。

最近のJ-POPにありがちな、音を壁のように構築するアレンジとは対照的な、隙間をうまく作り出し、一音一音丁寧に紡がれるメロディ。

そこに染み入る澄んだ水のようなadieuさんの歌声。相性抜群で最高です。

オルタナティブな曲ととても相性がいい。

今回のアルバムにはFINLANDS塩入冬湖さん作詞作曲の「よるのあと」も収録しています。

これも良い!!!!!!めちゃめちゃ良い!!!!!!

アレンジはやはりシンプルで歌声が染み入るように心に響きますが、やはりサビのメロディ。

「あなたが嘘をつかなくても生きていけますようにと何回も何千回も〜」

のところ。めちゃめちゃ癖になる。

adieuさんの歌声はオルタナティブなアレンジとめちゃめちゃ相性がいいと思います。

歪んだギターや、低音の静かになるチェロの音。どこか違和感を感じるような不協和音。その音にadieuさんの声が乗ることで澄んだ声が一層引き立つのかもしれません。

不協和音をうまく利用したアレンジ。そういう意味では小林武史さんとの共演もいつか見てみたいです。個人的には。でも今はやはりこの方向性のプロデュースの仕方をしばらく見てみたいですかね。北原京子さん。

と、偉そうに言ってみます。

野田洋次郎さんや、澤部渡(スカート)さん、いしわたり淳治さんも参加。

今回のミニアルバムには、先ほど紹介した1st Single「ナラタージュ」も収録されています。こちらはRADWIMPS野田洋次郎さん作詞作曲です。

また、3曲目の「」は作詞をいしわたり淳治さんとadieuさん本人。作曲を澤部渡スカート)さんが担当しています。

参加アーティストの選別にadieuさんがどの程度関わっているかは分かりませんが、歌が好きだと言っているadieuさん。歌声にもそれは本当に現れています。

好きと言うことは同時に大きなこだわりも生み出します。恐らく結構大きく関わっているのではないかなぁ…。と考えていますが、好きで選別しているからこそ、彼女の歌声にあった曲が多いのではないかと思います。

2年前にリリースされた曲「ナラタージュ」。その頃と今の歌い方、歌声の違いもこのアルバムでは感じられます。

僕自身は別にJ-POPが嫌いというわけではなく、ただ安易な考えのものとに作られたものや曲が好きではないので、adieuさんにはこれからも業界の流行りなどに関係なく、自分の歌声の生かした作品が生まれてくれると、そして自分自身が好きな曲を歌えてくれていると、個人的にも嬉しいです。

なんかまた最後偉そうですね。すいません。

 

読んでいただきありがとうございました。

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