『音楽やひいては人との出会いの喜び』だった – BUMP OF CHICKEN「aurora arc」【アルバムレビュー】

「BUMP OF CHICKENのアルバムが出る」

楽しみで楽しみでしょうがなかったです。

ただ、僕はバンプの熱心なファンというわけではなく、アルバムも一部聴いていない期間もあります。

もともとは中学の時に「天体観測」に衝撃を受け、『jupitar』にハマり、その前のインディーズ2作『FLAME VEIN』『THE LIVING DEAD』も合わせてどっぷりと聴きまくり、学校で使うノートの表紙に自分のお気に入りの歌詞のフレーズをめちゃくちゃに書いて埋めて満足していました。考えてみれば後にも先にもそんな事をしたのはミスチルとバンプくらいのもんです。

しかしその後『ユグドラシル』で若干ついていけなくなり、『orbital period』と『COSMONAUT』は聴きはしたのですがハマることはなく、20代中盤のある日、新しく発売されたアルバム『RAY』で改めてハマり、その夏は毎日電車に揺られながら聴いて、漫画家になるための勉強とバイトの日々を癒してもらってました。

そんな感じの熱心というわけではなく、単なる一音楽好きとしても、やはりバンプのアルバムが出るとなると楽しみでしょうがなかったです。

また毎日にどんな彩りや景色を与えてくれるのだろうかと期待でワクワクしながら発売日を待っていました。

特に今回のアルバムはその前の既発曲たちからどこか「開いた」印象を受けていたからこそ、ワクワク感が強かったです。

『アリア』の後ろに感じる爆発的なエネルギー

↓リリースとしてはアルバムの中で1番古い曲になる『アリア』。この曲めっちゃ好きです。

どうやらツアー中に作られた曲のようでして。そのせいかかなり勢いのあるというか、曲の奥にライブのなのかなんなのか、熱狂や興奮がそのままパッケージングされている印象を受けます。

そして、この曲に流れている感じが形は違えどアルバム全体に流れていると思っています。

そもそものアルバムのジャケットがいいですよね。アルバムタイトルが決まった後に「じゃあ実際にオーロラ見に行っちゃう?」って感じで行って撮影したらしんですが、バンプのアルバムジャケットは白か黒かのモノトーンな印象があるのでこのジャケットも少し衝撃でした。

また、先ほども言いました「開けている」印象を受けた楽曲は『望遠のマーチ』と『新世界』です。

インタビューによれば楽曲が生まれたのは一応この曲↑が1番古いようです。

もともとはファンクのようなアレンジで、テンポももう少し遅かったようですが、アレンジ面でこの方向に変わって行ったようです。

このテンポと「行こう」の言葉。たまらん。

そしてこの曲↑ですよ。

「ベイビーアイラブユーだぜ」ですよ。いやっ、気持ち的に「ベイビーアイラブユーだぜ★」かな。

メンバーにも「とうとうアイラブユーって言っちゃったね」と言われたらしいですが、藤くん的には今までと特にポジティブな方向に向かっているという自覚はないようで、基本的には現象というかファクトそのものをいつも書いているので、そこにそんなに変化はないということでした。

ただ、その拾い上げるファクトのアンテナが違ってくるんじゃないのかなーというのは素人の戯言ですね。


「今」を歌う。

言われてみればバンプはいつもファクトそのものをありのままに、漏らすことなく表現していて、だからまだ名前のついていない感情もそのまま聴いている人に伝わって、そこが余りにも凄い、バンプの凄さだと思うのですが。

『アリア』の一節に↓こんなフレーズがあります。

僕らの間にはさよならが 出会った時から育っていた

今回のアルバムは特に、闇の中にある光を、出会いの中にある別れを、漏らすことなく表現している曲が多いと思います。

特によく表れているのが↓『記念撮影』です。

おそらく学生時代というか、モラトリアム期の思い出。

大人になると目的や理由ばかりですからね。休日は有意義でなきゃいけないし、仕事や毎日に目的がないといけないし。頑張んなきゃいけない。

でもそれがなかったあの頃。記念写真をとったあの頃。そう、タイトルは記念写真ではなく『記念撮影』なんですよね。その行為そのものなんです。

なんの映画を観たかではなく、映画を観に行った、映画館に行った思い出そのものの話。

その思い出から今へつながっている。だから迷子のままでも大丈夫。

終わる魔法の中にいたあの頃があるから今頑張れる。昨日の積み重ねの今日。

始まった時点でやってくる別れを漏らすことなく表現し、それは刹那的であり、無常であり、だからこそ今が愛おしい

なんていい曲なんだ!

『話がしたいよ』がホント好き。

戻れない過去とその延長線上の今は↓『話がしたいよ』でも表現されています。

過去に出会ってきたいろんな人たち。出会いと別れの間で、みんな何やっているかな。元気でいるかな。

くたびれた時はそんなことを考えたりします。独りでいると特に。

どうやったって戻れないのは一緒だよ
じゃあこういう事を思っているのも一緒がいい
肌を撫でた今の風が 底の抜けた空が
あの日と似ているのに

抗いようもなく忘れながら生きているよ
ねぇ一体どんな言葉に僕ら出会っていたんだろう
鼻で愛想笑い 綺麗事 夏の終わる匂い
まだ覚えているよ
話がしたいよ

今までのなんだかんだとか これからがどうとか
心からどうでもいいんだ そんな事は

いや どうでもってそりゃ言い過ぎかも いや 言い過ぎだけど
そう言ってやりたいんだ 大丈夫 分かっている

今こうやって歌詞見ていても泣いてしまいそうなくらい、この歌は本当に好きで、生きていることの意味や時間が流れていくことの意味がわからなくて迷子になりそうになった時に、この言葉のない感情に言葉を与えてくれて

もうきっと大丈夫 どこが痛いかわかったからね

ってなるんです。

なぜ「オーロラ」なのか

とまあなんか感情のままに書いてしまいましたが。

今までと、これからの間の今の愛おしさを歌う楽曲たち。その楽曲たちの集められたアルバムのタイトルがなぜ「オーロラ」なのか。

オーロラってなんの意味があるんですかね。意味もなければなんで起こるのかの理由もわからない。

でも美しくて、不思議で、祈りたくなる。

そしてその行為やその瞬間、そこに辿り着くまでの過程の全ては、言ってみればイベントであり、一生消えない宝物で、その経験はのちに自分を励まし、勇気付け、背中を押してくれることになるはずです。

それは言ってみればライブに行くことであったり、毎日のイベントや、かけがえのない瞬間やその過程の思い出。ひいては音楽との出会いや、人との出会いや、それに似た出会いの全てに言えることなんじゃないかと思います。

『アリア』から感じるアルバム全体に共通して流れる感じはこれなのかもしれません。

それがあるから頑張れる。未来へ向かう、今を生きる糧になる過去。

そんな過去の思い出ような音楽たちが集まったから『aurora arc』なんじゃないでしょうか。

バンプは基本的にコンセプトをもってアルバムを作ることはないタイプのバンドだと思いますので、結果的にそれらのかけがえのない瞬間を大切にパッケージしたアルバムになったのではないかと思います。

最後に急な発言になりますが、このアルバムにも収録されています↑『Aurora』の一節

溜め息にもなれなかった 名前さえ持たない思いが

というフレーズ。これが大好きなんです。

いやっ、もう名曲揃い。

以上、それだけです。

読んでいただきありがとうございました。

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