「ボーダーライン」レビュー【後半若干のネタバレあり】-『シリアス系映画に美人がいると安心する』

まずは予告編をご覧ください。

いやー面白かった!

実はここ最近あまり当たり映画がなかったんですが、これは本当に観てよかった!

もう濃厚濃厚。ジャンルを名付けるなら「濃厚シリアス映画」。いやっ「濃厚シリアス麻薬戦争映画inメキシコ」か?

まーとにかく濃厚で面白かったです。

(※R-15指定のある通り、性的描写は大きくありませんが、暴力、特に死体の描写が多々あります。)

あらすじ

Yahoo!映画のあらすじをそのまま書くと

優秀なFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)は、メキシコ麻薬カルテルの全滅を目的とした部隊に入り、特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)のもとで極秘任務に就く。ケイトは早速、謎めいたコロンビア人(ベニチオ・デル・トロ)と共に国境付近の捜査を開始。人が次々と亡くなる現実を突きつけられたケイトは……。

になりますが、

要はアメリカとメキシコの国境で巻き起こる麻薬戦争の話です。


始まりからすでに面白い。

始まりのアクションシーン。もう5分〜10分間隔でどんどん話が展開していきます。ダークナイトの最初の銀行強盗シーンくらい。(あんなにトリッキーではないですが。)

うぇ?うぇ!うぉー…っっっっ…….という感じ。

そしてそこから事件に巻き込まれて行き、もう息が詰まる詰まる。警察物というよりは本当に戦争ものです。

ただ、大体の映画はその事件の後、状況説明が出てきて落ち着かせてくれると思うのですが、あんまり落ち着かない。わけわからないまま渦を巻くように話が進んで行きます。そして状況を説明してくれることはしてくれるのですが、僕みたいなおじさんはカタカナの名前をあんまり覚えられないのでわけがわかりません。

でも十分面白い!!

監督はドゥニ・ヴィルヌーヴという方らしく、僕もそんなに名前は知らなかったのですが、調べたら「メッセージ」や「ブレードランナー 2049」でメガホンをとっており、「ブレードランナー」任されるということだけでも十分わかると思うのですが、やはりこの「ボーダーライン」という映画も細部まで監督の神経の行き届いた説得力のある作品になっていました。

ドゥニ・ヴィルヌーヴさん。これから注目して行きたいと思います。

主人公の女性が好きになる。

エミリー・ブラントさん。

いやーいいですねー。美人。そしてちゃんと実力も持っている。

僕自身そんなに海外の女優さんに惚れたりすることはあんまり無いのですが、この映画ではなんか好感度がすごい上がった。

なんか主人公以外のキャラクターとか、落とし込まれた状況とかがメチャクチャで「なんだこれ」ってのが続く中で、この女性だけが視聴者目線でいてくれて隣に座ってくれている感じがする。

安心するんですよね。なんか。急にホッとする。スってなる。スって。

そして美人。

彼女が最後まで貫き通そうとする正義が現実に引き戻してくれる。

そして美人。

こういうシリアスものには美人さんが欠かせないなと思いました。

脚本がメチャメチャうまい。【若干のネタバレあり】

しかし僕が1番感じたのは脚本のうまさでした。

脚本家はテイラー・シェリダンさん。

初めて聞く名前の方で、作品もあまりなく、それでいて1970年生まれ。もともと売れない脇役俳優だったという記事もあります。

しかしここ最近は脚本家として注目を集め、少し前には自らが脚本した作品「ウインド・リバー」で初監督も務めたようです。

ここからはこの脚本の素晴らしさも若干のネタバレも含めて解説していきたいと思います。

  1. 知識量
    こういう作品は奥にしっかりと裏付けされた知識がないと薄っぺらいものになるのは目に見えていますが、繰り返すようにまー濃厚。
    そしてこの作品は原作がないことから、脚本家の取材料や知識の量は半端ないものだったんだと思います。
  2. 構成の技術
    冒頭にも書きましたが、5〜10分感覚で話がどんどん展開して行きます。
    若干説明に追いつけなくて置いていかれる部分はありますが、それぞれのキャラクターの心理描写など、そして展開の納得のさせ方は、しっかりと起承転結が理解できているから成せる技だと言えます。
    なによりも最初から出てきていた謎のメキシコ人の家族の話。あれが有るか無いかでは物語の印象は大きく違います。
    あそこまで根詰めて脚本をかけるのは並大抵の力量じゃ無理です。
  3. 視聴者目線の配置
    物語を書く上で、どこに視聴者の目線を置いて話を進めていくかという所まで脚本の意識を持っていけるのは、実力がかなり有る人でないと難しいと思います。
    さっきも書いた通りその役割を担っているのが主人公の女性です。最後までしっかりとその女性と一緒に世界を理解していくので、若干置いて行かれはしますが、感情の起伏や衝撃などを主人公と一緒に味わっていけます。映画体験が主人公と一緒にしっかりとできる仕組みになっている。素晴らしいです。
  4. 綿密なキャラクター描写
    キャラクターの初登場シーン。
    これをしっかりと描けない脚本かは脚本家失格だと思います。もしなんのこだわりもなく初登場シーンを書いているのであれば、もしくはどうやって登場させればいいかまだわからずにいるのであれば、それはそのキャラクターに対する理解度が足りていないと思います。
    この映画には主に4人のキャラクターが出てきますが、全て一言で表すことができます
    「正義に熱い主人公の女性」
    「なんとなく怖い男」
    「サンダルの偉い人」
    「法律に詳しい黒人の同僚」
    同僚以外のなんか偉い人物の「サンダル」で印象付け(物によるキャラクター付け)。
    「なんとなく怖い男」は最初っから知らされていないのにいるボヤっとした登場と、主人公の怪訝な表情で印象付けて(他者の評価によるキャラクター付け)、寝ている時の貧乏ゆすりと寝ビクで「なんかヤバい過去あんじゃねーか」と思わせる(エピソードによるキャラクター付け)。
    キャラクターというのはこうやって作品と視聴者に浸透させなければいけないんだという素晴らしい例になっています。

この脚本家さんの他の作品もこれからチェックして行きたいと思いました。素晴らしい。

この映画もオススメ

濃密な犯罪組織と警察の戦いなら「あるいは裏切りという名の犬」がオススメです。

あとは本当に濃厚でズーンってなるのであれば「ゼロ・ダーク・サーティ」ですね。

これはもう傑作のひとつですけどね。

面白さや衝撃で言えば「ボーダーライン」は「ゼロ・ダーク・サーティ」に少し劣るくらいという言い方で褒めることもできるかもしれません。何様。

続編もある。

相変わらず怖い。でも面白そう。

また観たら書きたいと思います。

 

読んでいただきありがとうございました。

あわせて読みたい