『対立関係のその上、三角関係を考える』- クリストファー・ノーラン監督の傑作「ダークナイト」があれほどまでに面白い理由

もうこれほど度肝を抜かされるアメコミは他にないかもしれない、名作中の名作、クリストファー・ノーラン監督によるバットマン、ダークナイトシリーズの中の2作目「ダークナイト」。

もうね、好きすぎるんです。この作品。言うまでもなく面白すぎる。人生で好きな映画TOP3に入るレベルです。

なんでこんなに面白いのか。もうね、大好きですから。何度も観ながらずっと考えてました。

やはり1番最初に出てくるのは宿敵ジョーカーの存在です。

あれほどまでに人の心理を読み、操り、裏の裏をかいてバットマンを翻弄し、同時に観ている観客も騙す。10分に1回は話が転がり、予測ができない方向へ観る人を連れて行ってしまう。

ルールを守り、制約の中で戦うバットマンに、ルールを壊し、混沌を作り出すジョーカー。

やはりあのジョーカーという存在なしに「ダークナイト」の面白さは語れないと思います。

バットマン対ジョーカー対立構造』。これが物語を面白くしているのは改めて言うまでもない事実です。

…では、実際に自分が物語を作る立場になった時に、言ってみればジョーカー並みにすごい強烈な主人公とのコントラストを持ったキャラクターが出来たとして、果たしてあれほどまでに面白い物語になりうるのか。

正直、なる気がしないわけです。

もちろん、物語の面白さは一つだけの要素で成り立っているわけではありませんので、対立構造を作ったからって、そんな簡単に面白い話が作れるわけがないのですが、しかし「ダークナイト」からはなんとなくですが、対立構造というものが、1ランク上に行っている気がする。

これは一体なんなのでしょうか。

「007 スカイフォール」「るろうに剣心」に見る対立構造

「ダークナイト」以降増えたのか、僕が気に留めやすくなったのかよくわかりませんが、対立関係の映画って実は結構あると思っているんです。

特に考えるきっかけをくれたのが007 スカイフォールでした。

司令官であるMを信じるのか、不信を抱いて敵に落ち、テロ行為に加担するか。

Mを軸にしての対立構造と、テロ行為という裏をかき情報を操っていく展開から、どこかジョーカーを意識しているのかなと思わせる敵と物語でした。

ただ、ダークナイトほど面白くはない。

いやっ、めちゃめちゃ面白いんですよ。ジェームズ・ボンドの過去や陰の部分。幼少期のトラウマなんかも掘り下げられていて、シリーズの中で1番好きです。星でいうと4.8くらい高いです。

ただ、「ダークナイト」が星5.0とした時に、残り0.2上げるにはどうすればいいのか。

そして「るろうに剣心」の剣心志々雄もまた、言うまでもなく日本の殿堂入りの対立関係になっていると思います。

というかやはり、こうして考えて見ると対立関係の構図は昔から面白い物語にはたいてい入っているものなんだと思います。

では、何が足りないのか、そう振り返ると1人の登場人物が浮かんできました。

ハービー・デントです。

もう一つの対立構造

実はこの「ダークナイト」は、ジョーカーとバットマンという対立構造と同時に、バットマン(ブルース・ウェイン)とハービー・デントの対立構造の物語でもあったのです。

そもそもが「光の騎士」と呼ばれていたハービー・デント。無法者のバットマンとは違い顔を晒し、検事として法の元で悪に鉄槌を下す。ブルース・ウェインと同様にレイチェルを愛し、恋人同士。バットマン自身も彼を信頼し、バットマンに代わってゴッサムシティに秩序と平和をもたらすのは彼なんじゃないかとさえ思い始めていました。

そう。闇に紛れて正体を隠し、無法者として悪と戦っていたバットマンに対し、陽の光の元で正体をさらし、法の力で悪と戦うハービーデント

この2人の対立…というよりは対比が物語に横軸を与え、振れ幅の大きい物語にしてるんです。

言ってみればハービー・デントは少年漫画で言う『ライバル』なんです。

フリーザがジョーカーであり、ベジータがハービー・デント。

そのライバルが何をするかで物語は変わります。

共に戦ったハービー・デントが愛する人を失ったことで闇に敗け、市民に絶望し、混沌をさらに加速させる。

実は同じ試練にぶち当たっているバットマンことブルース・ウェイン。愛する人を失い、傷つきながらも市民を信じ、悪と戦う誇り高き闇の騎士。

その対比がまたバットマンの魅力を倍増させます

ただ、この構造は共に戦う『ライバル』が闇に負けるパターンですが、闇に負けずに、光の方向へと向かうパターンもあるはずです。

ベジータが自分の誇りを捨て、フリーザを倒すためにカカロットこそスーパーサイヤ人だと認める。とか。

山王を倒すために今まで一度もパスを出したことのなかった桜木と流川がパスを出す。そしてハイタッチ。とか。

光の方向へ向かうパターンは実は少年漫画では王道の構造のようです。

因数分解して見ると、実は基礎的な作りを少し変えたものになっているだけなのかもしれません。

だけと言っても簡単にできるわけがありませんが。

「007 スカイフォール」に対立を一つ足してみる。

なんども言いますが面白い物語はたった一つの理論で成り立っているわけではありません。

まだ人類が発見していない物語理論も重なって、意味のわからん面白さを奏でているものはたくさんあります。

そしてこれももう一度言いますが、だけと言っても簡単にそれができるわけではありません。

ただ、一つの戯れとして、アウトプットの何歩か手前くらいの感覚で、「007 スカイフォール」にこの構造を当てはめてみたいと思います。飽くまで軽い妄想で。

 

ライバルは、若いスパイでしょうね。ジェームズ・ボンドの『老い』も一つのテーマになっていましたし。

Mから信頼されながらも時に反発しあう、いい関係を築く。

実際にジェームズ・ボンドと会話をさせながらキャラクターを理解していくことが大事ですので、ここでは深い人物像は言えませんが、一つ共通点が出てくると思います。

それは、ジェームズ・ボンドと同じ、紛争の地出身だということ。

それが二人をつなぎ、それが二人の人格を形作っていると思われます。

そしてそれが引き金となり、物語の3/4で、闇へと誘惑され、Mを裏切る。

 

なんとなくですがこんなストーリーになるのではないでしょうか。

ただでもアレですねー…やっぱり実際に作ってみないとなんともですが、結局のところジェームズ・ボンドの過去を掘り下げて、そこに付与していくようにライバルの存在が出てくるべきなので…このパターンがうまくいくには2年間くらい熟考しないといけない気がします。

やはり「ダークナイト」はすごい。

そして、「007 スカイフォール」もすごい。

今、浅はかな自分に嫌悪感でいっぱいです。

「るろうに剣心」の場合

るろうに剣心は原作が少年漫画ですからね。漫画の方はそもそもそういう作りになっていたのかもしれませんが、光に向かう構造の話へとやりようによってはできたのかなーと思います。

ライバルは四乃森蒼紫ですね。

志々雄派につくのか、剣心に味方するのか。原作の漫画では確か最初同盟関係にあって、後に剣心に味方する流れだったように思います。

映画の場合はそこをもう少し深く掘り下げることで、話の展開が一つ変わったかなーという気がします。

でもそうすると話のテーマ自体が変わってしまうので、そんな単純な話ではないですが。

 

 

いかがでしたでしょうか。

物語は登場人物が多くても、それぞれの役割がしっかりと見えていれば、雑多にならず、わかりやすく面白いものになると思っています。

それぞれの役割から人間関係を整理すると、面白い物語の面白さが見えてくるかもしれません。

読んでいただきありがとうございました。

あわせて読みたい