三幕構成と起承転結の関係性 – 面白い物語を書く方法⑤-2【物語理論】

物語が何で成り立っているか。

「キャラクター」「ストーリー」「世界観」などなどとありますが、「構成」というのも、一つの要素としてあります。

「構成」とは、話をきれいにまとめる技術です。

日本でよく聞く構成の用語に『起承転結』がありますが、ハリウッド式の脚本術だと『三幕構成』というのが一般的です。

どちらが正しいのか。解釈の違いだけで、どちらも正しいんだと思います。

では、それらがどんな風に関わりあているのか。ここではそれを解説したいと思います。

と言っても、誰かが解説していたわけではなく、あくまで僕の肌感覚をなんとか言語化した物ですので、悪しからず。

ちなみに三幕構成につきましては↓で解説していますので、よろしければご参考ください。

三幕構成(プロットポイント)を知ると、物語の構造がわかるようになる– 面白い物語を書く方法⑤【物語理論】

起承転結をそのまま三幕構成に当てはめてみる。

三幕構成とは言いながら、第二幕はミッドポイントを挟んで前半と後半に分かれていますので、実質的には4つに分かれています。

ですのでそれをそのまま起承転結に当てはめると、以下のようになります。

起 第一幕
承 第二幕 前半
転 第二幕 後半
結 第三幕

これでも割と間違ってはいないとは思うのですが、「承」の解釈によって、もう少し理解が変わってくるかと思います。

その前にそもそも起承転結とはなんなのか、一般的なものを紹介したいと思います。

そもそも起承転結とは。

僕の知るかぎり、起承転結は、以下のようなものです。

起 物語の始まり
承 物語を発展させる
転 物語をひっくり返す
結 物語を終える

よく起承転結を説明するものとして例に上がるのが、以下の詩です。

この杯を受けてくれ
どうぞなみなみ注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ。

これは、中国の詩人、于武陵(うぶりょう)が書いた「勧酒」を、作家の井伏鱒二氏の感性で日本語の詩に変えたものだそうです。

確かに詩における起承転結ならば、これはとても当てはまるものだと思いますが、これを物語に当てはめてしまうと、なんとも面白くないものになってしまいます。

根拠も証拠もありませんが、恐らく起承転結はもともとはスピーチなどに用いられた技法で、社説などの文章には非常に効果を発揮するのかと思いますが、物語に用いるとなると、少し解釈を変更しなければなりません。

問題は「承」にあります。「承」では、「葛藤」を生まなくてはならないのです。

「承」は葛藤するところ。

正直に言うと僕は、起承転結について、これがこうで起で、これがこうで承で、というふうに考えて物語を作ってはいませんでした。どちらかと言えば感覚的に、物語をいくつかのタームに分けて、発展させて考えていく中で、あれがなんとなく起で、転で。というイメージで物語を考えていました。

先ほどの起承転結の解釈には「葛藤」の考え方がありませんでした。「葛藤」こそが物語の肝であり、「葛藤」がない物語は全く面白くなりません。

その「葛藤」についての考えを盛り込むと、起承転結は以下のようになります。

起 物語の始まり(困難の発生)
承 困難を乗り越えようとする(葛藤の発生)
転 困難、葛藤が発展する
結 物語を終える

つまり「起」は物語のベクトルの発生するところであり、「承」ではそこに逆ベクトルが発生し、葛藤が生まれる。

「起」は線というよりは点であり、「第一幕」ではなく、プロットポイント①だと言えるわけです。

そう考えて三幕構成に当てはめると、以下のようになります。

起 プロットポイント①
承 第二幕 前半
転 第二幕 後半
結 第三幕

この時点でもある程度は完成されたものだと思うのですが、個人的には「転」の解釈の違いから、また違ったパターンも考えています。

「転」で物語をひっくり返すとした場合。

例えばジョジョの荒木飛呂彦先生は、起承転結を以下のように解釈しています。

起 主人公を読者に紹介する
承 主人公が敵もしくは困難に出会うなど
転 主人公が困難に立ち向かうが、さらなる問題が起こって窮地に立つ
結 勝利などのハッピーエンド

上記の解釈ですと、「転」の時でも葛藤が発生しているため、「転」が第二幕の中にあってもいいかと思いますし、そもそも葛藤は第二幕にだけあるわけではないので、先に紹介した三幕構成との関連性の解釈でいいのかと思います。

しかし個人的には「転」が物語をひっくり返すイメージがありますので、少し物語のベクトルが変わらなくてはならないと考えます。

そう考えた時に「転」はプロットポイント②、もしくはそこから連なる一連の流れであり、まとめると以下のようになります。

起 プロットポイント①
承 第二幕
転 プロットポイント②
結 エンディング

エンディングってなに?となるかと思います。いい言葉が見つからなかったのでそうしていますが、なにか一連の出来事が終わった後のエンドロール前の“めでたしめでたし”な部分です。子連れ狼などの原作者小池一夫先生は「結」を「読者にさよならを言うところ」としています。なかなか言い得て妙な、素晴らしい解釈だと思います。

キャラクター理論を元に考える起承転結

上記で解説してきた起承転結の解釈だと、葛藤の理解はありましたが、それを生み出すキャラクターについてはあまり触れられていません。

先に出てきた、子連れ狼などの作者の小池一夫先生。この方のキャラクター理論の影響を僕は受けまくっているのですが、その理論で考える起承転結は以下の通りです。

起 キャラクターを起てる
承 問題や障害が現れ、対立や葛藤からドラマが生まれる
転 問題と全面対決
結 読者にさよならを言う

つまり、キャラクターを起てる部分を「起」とした時、三幕構成においてそれはどこに当てはまるのか、僕は「インサイティング・インシデント」だと考えています。

つまり、

起 インサイティングインシデント
承 第二幕
転 プロットポイント②
結 エンディング

となると同時に、起と承の間にはプロットポイント①が存在します。

結局、正解の解釈はなんなのか。

上記のようにインサイティングインシデントを「起」としても、正直インシデント(事件)を用いてキャラクターを起てているとも言い切れないので、正解とは言い切れないと思います。

そして荒木飛呂彦先生と小池一夫先生に共通していることは、「起」でキャラクターについて紹介、キャラを起てることをしているということです。

そう考えると「起」は第一幕でいいのではないかと思うのですが、どこかそうしてしまうと「起」でキャラクターを紹介すればそのまま「承」に連れ込める気がしてしまうと言いますか。感覚的なものですが、やはり幕を変えるプロットポイントの存在が感覚的に必要だと考え、色々とややこしい解説をしてしまいました。

そう、感覚的なものなのです。

先にも書きましたが、物語を書く時にこれを起にしてこれを承にしてということは考えていません。言ってみれば構成は運動のようなもので、体で覚えていくものなんだと思います。“左手は添えるだけ”という理論はわかっていても、シュートは入りません。それを体現するように体に染み込ませなくてはなりません。構成もそのようなものだと言えると思います。

そしてもう一つ言えることは、三幕構成などの「構成」の技術は、所詮そこにこだわっていても、面白い物語は描けるようにはならないということです。

もちろん、「構成」は物語を読者に伝える技術なので、面白い物語を作る一要素でもあります。ただ、それだけではダメですし、物語の本質でもありません。

構成の技術が上がることは、“上手な物語”を作る方法とも言えると思います。“上手な物語”は、読者にある程度最後まで読ませる力と、理解してもらう力を持っていますが、それが面白いかと言われれば、必ずしもそうとは言えないと思います。
(言わずもがなですが、面白い物語も最後まで読んでもらわなければ、それが上手く読者に伝わらなければ意味がありませんので、ある程度は必要です。)

では、物語の本質はなんなのか。それはキャラクターです。キャラクターを理解し、その葛藤を描くことが物語の本質です。

物語を理解できない時に、僕が大事にしているのは「その物語を通してキャラクターがどう変わるのかを考える」ということです。物語を終えた時に主人公、もしくはその周囲にいるキャラクターが変化する。ではなぜ変化するのか。試練と困難が与えられて、葛藤が生まれるからです。

その物語を考える時に、上手く表現する技術として、構成を用います。

主人公を紹介する(起てる)

主人公が試練に直面し、葛藤する。

主人公が試練乗り越える

主人公が少し変化する

ちなみにこれが主人公ではなく、他のキャラクターでもいいわけですが、その変化が主人公によるものでないと、主人公の存在理由がなくなります。

この4段階を起承転結に当てはめてもいいわけですが、大事なのは、「主人公を困難に直面させる」という部分です。

主人公を理解し、読者に紹介したら、その主人公を困難に突き落とす。そこで果たして主人公はどんな行動を示すのかを観てもらう。それが物語の本質です。

その上で、細かく細分化していくと、今まで解説してきたような、いろいろな解釈が出てきます。しかし、それは起承転結の中にも小さな起承転結が、三幕構成で言うと小さな「発端」「中盤」「結末」があるためにそうなっていると言えます。

が、それは所詮解釈だけの問題であり、何度も言いますが構成はもっと体で覚えていかなくてはなりません。

スピーチをする時に、あれが「起」で、次に「承」で、と考えている人が感動的なスピーチをできるわけではないのと一緒だと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

最後もう訳わからなくなってしまいましたが、物語は基本的に、インスピレーションを得た時点で既に正解の形は存在し、それが何かと模索していくのが創るということだと考えます。

その正解の物語を見つけ出すアプローチの一つとして、起承転結と三幕構成の関連性を自分なりに解釈してみてもいいのではないでしょうか。

恐らく自分なりの解釈ができるようになった頃には、ある程度構成の技術が身についているものと思います。

また、何度も出てきています「葛藤」につきましては↓で解説していますので、よろしければご覧ください。

キャラクターに葛藤を生み出さないと、物語は面白くならない – 面白い物語を書く方法②【物語理論】

一応、物語理論につきましては面白い物語を書く方法というカテゴリをつけてまとめていますが、↓では「はじめに」として目次のように全体像を説明していますので、よろしければご覧ください。

なぜ物語において人間が描けているかどうかが重要なのか。 – 面白い物語を書く方法①(はじめに)【物語理論】

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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