「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」を観て『丁寧な心理描写は起承転結によって成る』と思った。

まずは予告をご覧ください。

こういう話すごい好きなんです。

歴史上の事実を元に作った映画で、新聞社が舞台というのも好み。あの雑然感がたまらない。俳優もいい。

ただ、面白くない。

素材はいいし俳優の演技も素晴らしいです。当たり前ですよね。メリル・ストリープとトム・ハンクスなんですから。

なので映画に面白さではなく俳優の演技力とかを求める方にはオススメできます。

 

観ながらなぜ面白くないか。考えました。するといくつかの脚本の基礎的な理論が欠けているのが見えて来たのですが、

まずはあらすじから。

最高機密あらすじ

ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国民の間に疑問や反戦の気運が高まっていた1971年。国防省がベトナム戦争に関する経過や客観的な分析を記録し、トップシークレットとなっていた文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在をNYタイムズがスクープ。アメリカ初の女性新聞発行人として足固めをしようとしていたキャサリン・グラハム、そしてその部下である編集主幹ベン・ブラッドリーをはじめとするワシントン・ポスト紙の面々は、報道の自由を統制し記事を差し止めようとする政府と戦うため、ライバル紙であるNYタイムズと時に争いながら連携し、政府の圧力に屈することなく真実を世に出そうと決断する―。

一応「監督:スティーヴン・スピルバーグ」のようです。

しかし、よくこれで許したなと思うくらい脚本がよくない。

次からどうしたらもっとよくなったか、偉そうに書いていきたいと思います。

最高機密どうしたらよくなったか。

解説には以下ネタバレを含みますので、ご了承ください。

  1. 最初の30分退屈でいらない→事件から始まっていない
    はじめベトナム戦争のシーンから始まり、これをインサイティング・インシデント(惹きつけるための導入の事件)にしているが、それが筋として成立していないので意味がない。そして結末や他のポイントにつながっていない。
    →ならば、インサイティング・インシデントはニューヨークタイムズに先を越されて文書のコピーが掲載されるところから行くべきであり、その事件の中で主人公のトム・ハンクスが何を思い、イライラし、どんな人間性を表に出すのかを見せなくてはいけない。正直見終わってトム・ハンクスがどんなやつか全然説明ができない。
    →その「発端」部分(物語の1/4部分)の中にも小さな起承転結はあるわけですが、その小さな「転」となるのが、新聞社に匿名で文書コピーが届くシーンにする。ここで状況が一気に変わるわけです。
  2. 「決断」が不明瞭→プロットポイントがない
    特に発端から中盤へ向かう部分の決断がよくわからなかったです。なので話の筋が見えてこない。人間関係もわからない。
    話のベクトルがないのでそれに反対してくる逆ベクトルもわからない。結果、葛藤が生まれない話の先が気にならないつまらない脚本になってしまう。
    「文書コピーを何が何でも掲載する」ということを決断にし、それに伴う葛藤、障害を中盤で描くべきだった。そうすれば障害になる人間も明確になり、ベクトルと逆ベクトルが明瞭になる。そうしないとメリル・ストリープの立ち位置がマジで良くわからない、ずっと煮え切らない人になってしまう。

この2つが大きな理由になると思います。

他にもいらないシーンが多かったり、人間関係を言葉(台詞)で説明しすぎな部分がありますが、結局のところ上記2つを変えることでよくなってくる部分も多いと思います。

結局のところ起承転結の中にも小さな起承転結は存在していてその小さな「起」を丁寧に描けばその後の「承転結」も変わってくるだろうと思いますので、そこに意識をしっかり向けられればという気がします。偉そうに。

ただ、キャラクターの家族とかバックグラウンドをしっかり描こうとしているのは伝わって来たので…もしかしたら役者に助けられてる部分が多々あるのかもしれませんが、そこは素晴らしかったと思います。

うむ、そこは褒めてつかわそう。

まとめ

最初の30分をしっかり描けたらその物語のエネルギーに乗ってもう少しいいものが描けたかなーという映画です。

それこそ素材は素晴らしいのでアカデミー賞狙えるくらい。

あとは俳優が素晴らしい。言うまでもなく。

最高機密他のオススメ作品

やっぱりスポットライトですかね。同じジャーナリズムものだと。

予告観ただけでも葛藤がにじみ出て来ますよね。そしてそれが話の筋になり得ている。

素晴らしい映画です。

あとはクラッシュですかね。脚本のお手本になりうる映画です。

いくつかの異なる物語が交錯していますが、プロットポイントなどの構成の基礎をしっかり理解してアウトプットできるようになれば、こういうものも無理なく観ている人に届けられます。

あっ、予告観てたらまた観たくなっちゃったな。観よう今度。

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