『俺たちMr.Children!』-Mr.Children「重力と呼吸」【アルバムレビュー】

ブログを始めようと思いました。

僕自身Webディレクターをやっておりまして…まだ始めたばかりの新人なのですが。
その勉強もかねて、実験的に何かしらブログを週一くらいのペースで書いていこうかなと思いました。
しかし書くことあるのかな…と考えた末、まあ好きな音楽やら本やら映画やらのことならある程度書けるかなと。

ということで第1回目は大好きなミスチルの新アルバム

「重力と呼吸」

について書きます。

Mr.Children「重力と呼吸」とは

僕、Mr.Children大好きなんです。

今まで生きてきた短い人生の中で大きな影響を多大に、絶大に受けてきました。恐らく僕の体を半分に切って中身を見てみたらその8割がMr.Childrenでできているくらい。そもそもMr.Children の「It’s a wonderful world」というアルバムを買わなかったら、こんなに音楽にハマることもなかったと思います。

そんな僕から見た今回のアルバム「重力と呼吸」…..なかなか大変なアルバムです。

↑がアルバムの1曲目を飾り、アルバムの顔として先行でプロモーションされた曲「Your Song」です。Jen(ドラム)のカウントから始まる肉体的でバンド感の強い1曲。
シンプルなのにメロディアスで、固くて冷たいのに中身は暖かくてポップな。この曲に吹く風がアルバム全体を貫いています。

しかしなかなか賛否を呼ぶであろうこのアルバム。
理由は大きく言って4つあります。

  1. アルバムの合計時間数が短い。
    今まで基本1時間は超えるアルバムを作ってきたミスチル。このアルバムは10曲で約48分という、ロッキング・オンさんの言葉を借りるとかなりソリッドなアルバムになっています。
  2. 曲がかなりハードロック寄り。
    過去でいうと「BOLERO」がそうでしたが、あのアルバムはどちらかというと「深海」と対を成し、「深海」がアコースティックな面を出したアルバムなのに対し、“テクノロジーを駆使する”というコンセプトで「BOLERO」はできていました。「重力と呼吸」は“テクノロジーを駆使する”とは別の、もっと肉体的なものになっています。
  3. 全曲Mr.Childrenプロデュース
    前回のアルバムから盟友小林武史が離れ、Mr.Children自身によるプロデュースという新しい旅が始まりました。
    といっても最初の方は参加していたらしく、全曲Mr.Childrenプロデュースで出来上がっているというのは今回が初になります。
  4. 「みんなの歌」から「俺たちMr.Children」へ
    Mr.Childrenは今まで、なるべく歌を作った人達の顔が出ないようなものを作ってきました。そうすることで聴いてくれるみんなが入り込む余地を用意して、みんなの生活に寄り添ってくれるものが生まれる。「HOME」なんかがその最高峰だと思います。
    しかし今回は敢えてそうしなかった。なぜでしょうか。

なぜ「みんなの歌」から「俺たちMr.Children」へと変わったのか。

理由は大きく3つあると思います。

  1. 「Thanks giving 25」ツアー
    どうやら「Thanks giving 25」ツアーでベスト盤のような選曲のライブを行ったことにも理由はあるようです。

    オーディエンスに応える、ファンに応えるというのはやり切った気がしていて…
    ーrockin’on JAPAN

    歌っていうものがこんなにも届いてるんだって思ったし。で、それを望んでいたし。でも、25周年やり切った後の次のステージは歌がみんなに届くようにっていう大きいところには行かないで、まずバンドの背中というか佇まいを見せる。
    ーrockin’on JAPAN

    ほんとに100%ファンの気持ちに応えると飽きられるから、ちょっとずらして、50%応えて、50%裏切るっていうことをやんなきゃダメだとは思っていて。
    だからこそ、今一番いい形でお客さんの気持ちに応えて裏切る音のあり方っていうのは、こういうもんなんじゃないかなっていう、明確なイメージはあったんです。
    ーrockin’on JAPAN

    本当に天才ですねこの人。

    自分の頭だけでなく、ファンの頭で、視点で考える。恐らくそれを俯瞰で見てる自分もいるのでしょう。今まで何度となく期待をいい意味で裏切り、また、応えてきた。それが意図的に、狙ってやってきたかと思うと驚愕です。
    しかし恐らく、未来に向かってこうなるように狙ってというよりは、今の自分や時代、社会をしっかりと捉えた上で、自分が何をするか、をしっかり考えているんじゃないかなぁ….なんて。

  2. 全曲Mr.Childrenプロデュース
    まあ当たり前といえば当たり前ですよね。一緒に作る人がいなくなったんだから。その分変化はありますよ。その抜けたぶんを「ヒカリノアトリエ」のツアーではサポートを増やすことで補おうとした。でもそうじゃないと。
    まず4人がいて、その結束を強くすることで、Mr.Childrenの音楽をより強いものにしていこう
    という方向に、ツアーをずっとやっていく中でシフトしていったんじゃないかなという気がします。楽曲の作りにも、その変化は出ているようです。

    例えばおんなじメロディであっても、今までのように、1番は割とバラードっぽい感じで、2番から壮大なストリングスが入ってきてってなると、その音楽を言葉で通訳するためには、ものすごい日常のちっちゃいことをきっかけに、おっきいドラマを語っていく物語が必要になってくる。
    だから、今までの、特に小林さんが支えていた頃のMr.Childrenの歌詞っていうものは、今言ったような、振り幅が広いものが多かったと思うんだけど。今回はそうではなくて。
    ーrockin’on JAPAN

    曲の中に波のようなものを作って、その移り変わりの中でドラマを生み、聴く人を魅了するアレンジが得意だった小林武史さんと、曲の持つ意味を理解し、その音を言葉に、歌に変えることの得意だった桜井さん。
    小林さんと離れた今回のアルバム。確かに持ち前の聴く人を感動させる、物語性の大きくある曲はかなり少ないです。アルバム自体が一つの物語のようになり、感動させてくれる。それもない。48分なのでむしろ物足りなさを感じます。
    しかしここにはやはり、ライブを前提にしたアルバムだったということも大きくあるかと。どの曲もライブで映える曲ばかり。
    個人的には「SINGLES」をライブで聴いてみたい!…誰かのライブを観に行くことなんてほとんど無いのですが…。

  3. 時代の変化
    何かを表現する人は時代の空気に敏感だと言いますが、それは聴いてくれる人をしっかりと意識して作れるかどうかで変わってくると思います。
    Mr.Childrenのアルバムは毎回毎回違います。それは時代が絶えず変わっているからだとも言えると思います。
    ミスチルは今の時代をどう見ているのか。それに対してどんなことを行うのか。僕の中では社会を覗く窓のような役割もあって、そこも好きな理由の一つでした。
    桜井さんは過去のインタビューで

    Mr.Childrenって、さあこの指とまれっていうサビでみんなで思いを共有するっていう、それをお茶の間レベルでちゃんとやる存在だったけど、もう音楽全体がそれを必要としていないかもしれない。
    ーrockin’on JAPAN

    テクノロジーが進歩することで、音楽は変わると言います。よく上がる例がエレキギターですが。
    しかし、それは演奏する楽器だけではなく、リスナーの聴き方にも影響を与えます。一つ、僕自身が身近で感じることは、音楽の聴き方がよりパーソナルで、細分化したものになっているということ。

    そしてもう一つ、音楽を誰もが簡単に誰かに届けることができるようになったこと。
    もう何年も前にあったカバーブーム。何かって言うとすぐカバーソングのCDを出して、その中でMay Jさんがいっきに売れましたが。あれも今では別にCD作らなくても誰でも誰かに聴いてもらうことができる。

    誰でも世の中に音を届けられる時代の中で、こいつらじゃなきゃ意味を持たないもの、こいつらが叫ぶから、こいつらが歌ってるから、意味を持つもの――だから逆に言えば本物しか残れないとは思う。Mr.Childrenというバンドが本物であるという証拠を残したかったという気持ちが、このアルバムにはありますね。
    ーrockin’on JAPAN

    かっこよいね。

25周年を経てさらに進化するバンド。

「重力と呼吸」では明らかに今までのMr.Childrenから新しいMr.Childrenへと変わっています。

Mr.Childrenの音楽に感動やドラマ性を求める人にはなかなか受け入れづらいものになっているかもしれません。
僕も最初「えっ、こういう感じ?」「ハードロックだなー」「短っ!もう終わり?」などと飲み込むのに少し時間がかかりました。

しかし一度このアルバムを聴いてしまうともう他のアルバムでは物足りなくなってしまう。ミスチルのアルバムだけでなく、他のアーティストのアルバムも含め。
それもまた事実です。

個人的には「SINGLES」が一番好みではあります。が、「Your Song」もいい。結局全部いい。

ですが、ミスチル初心者にはオススメしづらいですね。食べづらいと思います。
ライブで完成されるアルバムだと思いますので、ライブに連れて行ってあげたほうがいいかも。

大ファンの僕としてはこれからが楽しみになるアルバムでした。
いやっ、今回のが良くないからとかではなくてね。次に期待とかではなくて。まだまだ変化するんだこの人達は。的な。

次のアルバム….ん?次のアルバム?

この次のアルバムは…?

この先果たしてまたアルバムを出してくれるのか。

LIVE大好き!な状態の中で、そして世の中でアルバムの存在意義がよくわからなくなっている中で、Mr.Childrenはアルバムを出してくれるのか…。
出してほしーなー。結局アルバムが好きなんだし。アルバムが面白いと思ってるし。思ってるしんよ!

しかし、恥を忍んで僕の考えていることを書き連ねるのであれば、桜井さんの中のバンドとしての肉体性を求めるブームは一区切りついたのかなと思っています。
ある程度長いことやっているミュージシャンの作品は時代の流れによる変化はあるものの、作品作りのミュージシャン側のモチベーションによって、過去の作品と似てくる部分が出てくると思います。

あの名盤「SUPER MARKET FANTASY」は僕の中で「Atomic heart」なのですが、そう見ると「深海」は「SENSE」「重力と呼吸」は「Q」だと言えます。

「Q」のジャケットは潜水服を着た人が陸に上がってますが、アレは「深海」からの脱却を意味しているとなんかのインタビューで言っていました。
脱却というよりは、アルバム作りの中で見つかった課題が、年を経て解決される。完成される。そうやってミスチルは変わってきたのだと思うのですが、「SENSE」の製作時に出た「肉体性」という課題。それが今回のアルバムで完成され、また、次のアルバムで次の音へと、進化していくのではと思います。

「Q」の次は「It’s a wonderful world」ですね。
rockin’on JAPANではこのアルバムを『POPに対する復習』と評していました(rockin’on JAPAN大好きですね僕)。
このアルバムのリリース前にはベスト盤のツアーもありました。その中でどうやらPOPであることに諦めをつけ「優しい歌」を歌っていくことへの覚悟を決めたようなのですが。

Mr.Childrenがこのあと、何を歌っていくのか。ツアーの中で何を発見し、それを音楽に変えていくのか。

大ファンとして楽しみにしてくれるアルバムです。

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