小説や脚本、漫画など、物語理論の勉強にオススメの本4選

実は僕、昔物語の勉強をしていました。

物語といっても幅広いですが、漫画を描いていたんですね。10年ほど。

「10年続けていればきっといい結果が出るはず」

と思ってやったんですが、結局漫画で食べていける人間にはなれませんでした。

理由は色々あると思うんですが、その中の一つは、これがあれば何にもいらない」と思えるほど漫画が好きではなかったんだと思います。「漫画家を目指している」もっと言えば「夢を追いかけている自分」が好きなだけだった。だから手段が目的化していたんですね。これはダサい。困ったもんだ。

ただ、その10年間も無駄ではなく、そこである程度身につけた技術もあります。

それは物語の作り方です。

そりゃ人よりたくさん作りましたからね。普通の人よりは。

観てて面白くない映画も「なんで面白くないか」「どうやったら面白くなるか」も、ある程度はわかるようになりました。

なのでこのサイトではそんな技術も披露できたらと思っているのですが、今日はその技術を何で身につけていったかを書きたいと思います。

正直「描いて描いて描きまくる」以外にないと思うのですが、その上で、分析や客観視、なんとなく自分で掴んでいる理論の言語化をすることで理解できることも多々あると思いますので、その役に立つであろう本を紹介したいと思います。

漫画に限らず、小説や脚本など、物語を作る上で参考になるかと思います。

「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと」シド・フィールド 著

「物語を書きたい!」と思いたった方が読むべき最初の本だと思います。そしてそれ以降もずっと、何度も読んで、立ち返って、参考になる。

教科書のような本です。

小説に関してはわかりませんが、脚本を書くのであれば間違いなくこの本は役に立ちます。そして漫画でも。

 

漫画を描き始めた時、僕は自分の漫画を短くまとめることができませんでした。

「描きたいことがありすぎる」「物語を書く上で何が必要で何が不必要な要素なのかわからない」

僕の場合この悩みはとにかく何作も描き続けることでだんだんとページ数が減っていきましたが。しかしこの本を読んだことでシーンの必要不要についての理解が加速したのを覚えています。

そう、僕の場合この本は「構成」を素晴らしく理解させてくれました。

 

皆さん「プロットポイント」って知ってます?「インサイティング・インシデント」って知ってます?「ミッドポイント」って知ってます?

物語は三幕構成になっていて「第一幕」「第二幕」「第三幕」があり、

「第一幕」と「第二幕」の間、「第二幕」「第三幕」の間で主人公は決断をする。それが物語の推進力になる(プロット・ポイント)。

「第二幕」の真ん中くらいには事件、エピソード、出来事が起こり、物語を展開する(ミッドポイント)。

知ってました?

知らないなら読むべきです。これを知るだけでも物語の理解が全然違ってきます。(「インサイティング・インシデント」についてはまたの機会に…。)

しかし、大きく分けて3つ。細かく分けると4つに分解できる物語の構成。…これって起承転結じゃないの?

と思い当てはめてみてもどうもうまくいかない。あれ?

その答えは後に紹介する「いきなりドラマを面白くするシナリオ錬金術 (シナリオ教室)」が教えてくれました。


「人を惹きつける技術: カリスマ劇画原作者が指南する売れる「キャラ」の創り方」小池一夫 著

その前にキャラクターについて。

物語はキャラクターが命」「正直キャラクターが良ければ他はどうでもいい

よく聞く言葉ですが、事実です。これに関しては小説もしかり。

ではどうすれば魅力的なキャラクターが書けるのか。その方法をこの本は紹介しています。

 

例えば、るろうに剣心の剣心。そのキャラクターの魅力を形成しているものってなんだと思いますか?

それを理解するには、剣心から色々なものを除外した状況を想像してみればわかります。

「逆刃刀」「十字傷」「おろろ」「人斬り抜刀斎」などなど。

これをとるともう普通の人ですね。

つまりこれは「(逆刃刀)」で、「身体的特徴(十字傷)」で、「口癖(おろろ)」で、「異名・あだ名(人斬り抜刀斎)」でキャラを起てているといえます。

 

この剣心を利用した例えはこの本に載っているわけではないですが、僕もここまでわかるようになりました。

ちなみに著者はキャラを立てるではなく起てると言っています。それはなぜなのか。そして他にキャラを起てる方法は何があるのか。その実践的な引き出し方まで。

魅力的なキャラクターが書けなくて困っている方は、本当に読んでみるべきだと思います。

読む前と後では明らかに実力が変わると思います!!

「いきなりドラマを面白くするシナリオ錬金術 (シナリオ教室)」浅田直亮

これはある程度基礎が固まってから読むべきだと思います。

脚本の本は色々出ていますが書いてあることはある程度似てきます。わかりやすいかどうか。また、アプローチの仕方がどう違うか。だと思います。

先に書きました起承転結。それぞれどんな役割があるのか。

起で事件などを起こし、ドラマの発端が生まれ、承で葛藤し、転でひっくり返し、結で読者にさよならを言う。

ちょっと言葉変えてますがざっとこの本ではこんなことを書いてます。

そしてそのアプローチの方法として主人公が最後にどう変化するのかを考える。それを元に起と転を考え、承でどう葛藤させればいいのかを考える。

こんな感じで凝り固まった頭や、今まで知識として得ていた、葛藤の作り方、キャラクターの魅力の引き出し方を、簡単な言葉で理解させてくれます。

そう、「葛藤」です。

面白い物語に欠かせないもう一つの要素、キャラクターともう一つ「葛藤」。

「葛藤」ってなんだ!

でもその葛藤はこの本は2種類しかないと教えてくれています。

二つのことで迷わせるか、目的を達成できずにイライラするか。「イラ」と「マヨ」です。

葛藤を起こすためには「困ったちゃん」を置くとか。スタンドバイミーのあのデブですね。

基礎的な物語の理論は知った上で「その理論って実はこういうアプローチの仕方もあるよ」って教えてくれる本です。

もちろん新しい発見もあります。

「出発点 1979〜1996」宮崎駿 著

これは少し趣旨とずれるかもしれませんが。しかし僕にとってはバイブルと言ってもよく。全600ページ近くある中で100ページくらいはアニメーションを作るとはどういうことかを語っています。

どういう理論で作るかではありませんが、創作の根幹にあるものに触れられます。かなりの読書家で、読んだ本の紹介等もしており、面白いです。そして読んでる本もすごいです。

この中にこんなことが書いてあります。

企画が決定されて、作品の制作が始まるのだろうか、アニメーターの君はその時に初めてその作品について、あれこれと構想を練るのだろうか。
ちがう。もっとずっと前、たぶん君がアニメーターになろうとさえ思わなかた、もっとずっと前から、すべてがはじまっているのだ。
…(中略)…企画としての物語や原作…(中略)…その引き金に触発されて、君がいままで自分のうちに描いてきた世界、貯えてきたたくだんの風景や表現されたがっている思想、情感が、君の中から湧き出てくるのだ。

もうね、理論とかそんなことはどうでもいいんですよ。いや、それをもう超えているんですよね。

混沌の中から、君は自分の表現したいものの姿をおぼろげにつかまえていく。
そして君は描きはじめる。
物語はまだできていなくてもかまわない。
ストーリはあとからついてくる。キャラクターを決めるのも、もっと後だ。一つの世界の基調となる絵を描く。

ストーリーとかは確かに重要です。キャラクターももちろん。でも、一つでも印象に残るシーンを描けたら。その人の人生に刻めたら。誰がなんと言おうとそれは素晴らしい物語です。

そしてそれを描くヒントが、この本には載っている気がします。

まとめ

物語理論とかは確かに重要です。でもそれは、うまい物語を書くための方法に過ぎないと、僕は思います。

例えば「寄生獣」。あの漫画は絵も下手だしコマ割りも退屈だし、決してうまく描けている漫画だとは言えないと思います。

でも面白いんです。

物語理論を知ることで、面白い物語を書くことに近づくことはできます。

でも、飛び抜けて面白い作品は実は他の方法でも作れると僕は考えています。

それは物語理論以外のところにあり、また、人間の根本の部分にあると思います。例えば「自分に嘘をつかないように、物語を書いてみる」とか。

最後はよくわからないことを言い出しましたが。しかしこんな長い文章を最後まで読んでいただきありがとうございます。

それぞれの本は後にまた詳しいレビューを書けたらと思っています。

また、つまらない映画を観てしまった際には↓のページに「その映画がなぜつまらないのか」を偉そうに解説していやがるものが「映画理論」のタグをつけてまとめてありますので、よろしければご覧ください。

https://n-select.com/category/story/

『面白い物語を書いてみたい!』と思っている方の役に少しでも立てたら幸いです。

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