『アーノルドは何をしたのか。フォードの思惑とは』ウエストワールド<シーズン1>を時系列と共に解説【ネタバレ解説】

めちゃめちゃな傑作、「ウエストワールド<シーズン1>」。めちゃめちゃ面白いのですが、同時に設定が複雑でわかりづらい部分が多々ありました。こちらの記事ではそれらの解説を書いていきたいと思います。

ちなみに現時点で僕はシーズン3まで観た状態でこの解説を書いています。そのためにシーズン1を再度観て、そこでやっと理解できた部分もあります。ですので、この先シーズン2、3、そしてそれ以降を観ていく中で「あっ、ここ違うじゃん」という部分も出て来るかと思います。そういったものは加筆して修正していこうか、ほうっておこうかしようかと思いますが、飽くまで一視聴者の解説として、寛大な目で観ていただけますと幸いです。

シーズン1を理解する上でのポイントは以下の3点です。

  1. バーナードはホストであり、アーノルドを元に作られた。
  2. ウィリアムは黒服の男だった。
  3. 「ワイアットのシナリオ」

いやぁー、1と2について、本当にびっくりましたよね。特に1は「マジかよ」と言葉が出ました。それはきっと僕だけではないはずです。この2点があるために物語の時系列が少しわかりづらくなっていますので、まずはそこから解説し、その後「ワイアットのシナリオ」を元にフォードの思惑について。そしてまだ明らかにされていない謎を洗いして、この記事を締め括れたらと思います。

時系列

「バーナードはホストであり、アーノルドを元に作られた。」「ウィリアムは黒服の男だった。」この2つのマジックにより、時系列の面で観ている人と映画の世界とでの差異が生まれています。

実際のところは、大筋↓のような時系列になると思います。

特に「バーナードはホストであり、アーノルドを元に作られた。」。この点はとても重要で、これを理解した上で改めて物語を見返すと、色々なことがわかってきます。

まず、ホストを管理するウエストワールドの施設以外で、バーナードがドロレスに質問していたシーンは、バーナードではなく、アーノルドがドロレスに質問していたことになり、過去の回送になっていたことになります。

その中でアーノルドはドロレスにこう投げかけます。

「二人の自分がいると想像してみて。一人は色々なことを感じ、質問を投げかける自分で、もう一人は、安全な自分。君はどちらがいい」

つまり“二分身”理論を用いて意識を作り出そうとしているわけです。

そしてその後、アーノルドはドロレスに“迷路”を探し出す秘密のゲームをすることを提案します。そしてそれは意識を作り出すための内側への旅でした。そのゲームをやり遂げ、ドロレスが迷路を見つけ出したとき、アーノルドはドロレスの中に意識の芽生えを確信します。しかしそれは芽生え程度のもので、まだ完全なものではありませんでした。

「今ならわかるか?ドロレス。中央が何を意味しているのか。誰の声を君に聞いて欲しいのか」
「ごめんなさい。考えても私にはわからない」

“二分身”理論について、フォードはバーナードにこう説明しました。

「ホストはプログラムを内なる声と捉える。彼はいずれ、ホスト自身の声がとって変わり、意識が生じるようになることを期待した」

つまり内なる声がアーノルドから自分自身に取って代わるとき、意識が完全なものになると考えたのです。そしてそれは最終話で完成し、ドロレスは自分自身と対面しました。

しかし、若干怪しいのは、4話でドロレスがアーノルドと対面しているとき、初めのシーンで何があったのかを質問するアーノルドに、ドロレスは両親が殺されたことを告げます。つまり、これは帰宅した際に両親が無法者に殺されてしまうシナリオを経た後の発言だと考えられます。シナリオが始まったのはプレオープンの時で、アーノルドはすでに死んでいるという理解ですと、その会話は少し辻褄が合わなくなります。

そんなに深く考えなくていいかとも思いますが、しかし、あえて言うのであれば、考えられる理由は二つあります。
一つは、アーノルドが生きている間にもプレオープン、もしくはシナリオの通りに動かすことはあったため。そのなかでの出来事の回送であるということ。
そしてもう一つは、ドロレスの記憶の中から作り出した内なるアーノルドとの対話だったということです。というのも、ドロレスはループの中で、記憶の中のウィリアムと共に、迷路を探す旅を一人で繰り返していたからです。その中でのドロレスと記憶の中のアーノルドとの対話が描かれていたのではないかと考えます。

ドロレスは上記のように、ウィリアムとの迷路を探す旅を一人繰り返していました。それを利用し、その現代の記憶と過去の、実際にウィリアムと旅をした時の記憶が混じり、何が起きた?という演出をたまに見せます。
特に3話は顕著で、2話の最後で農場内の地面から拳銃を見つけます。その拳銃を3話ではチェストから取り出し、眺めますが、次の瞬間には拳銃は無くなっています。つまり現在から過去の、実際にウィリアムが来園した時代に変わったわけです。同様のことは3話の最後でも起きています。家が無法者に襲われた際、ドロレスは腹を撃たれてしまいますが、次の瞬間には腹が治っています。ここでも時間が変わる演出が使われています。そして無事だったドロレスは馬に乗り、あてもなく逃げ走り、ウィリアムの元にたどり着くわけです。

なかなか憎い演出をします。最高です。

フォードの思惑。そして「ワイアットのシナリオ」とは何か。

さて、ここからは最も難解なフォードの思惑について、僕の考えを書いていきていと思います。

まず、フォードの人間性について、考えなくてはなりません。フォードはホストに対してどういった思いを抱いているのか。彼は一応、ホストを新しい人類的なものとして捉えていますが、愛情はあまり抱いていないように思います。むしろ愛情を抱くとアーノルドのようになってしまうため、そことは一線を画して見ていたと、考えています。しかし生まれてしまった意識。言ってみれば自分の手を離れて育って行ってしまうホストに対して、何ができるのか。そう考えたときに「ワイアットのシナリオ」を用いて、彼らを解放へと導いたのではないかと考えます。

言ってみればアーノルドの願いを叶えてあげたとも言えると思うのですが、しかしアーノルドとフォードの違いはホストに対する思い入れだけでなく、人類に対する悲観的見方もありました。ホストが意識を持っていると発表したら、人類は彼らを敵とみなし、ホストは対抗できず滅びることになるという考えです。そのためにフォードは、長い年月の中でホストに完全な意識を与えながら、少しずつ人間のことを学ばせて行きました。

そして期が熟すと彼らに「ワイアットのシナリオ」を与えます。ではその「ワイアットのシナリオ」とは何なのか。

9話でホストの一人が テディにこう言います

「やったの。そしてまたやる。今度は私たちも一緒よ。ワイアットが戻ったら“砂に飲まれた街”で共に戦うの」

つまり、かつてテディがドロレスと共にホストたちに行った虐殺を、今度は私たち(ホストたち)も一緒にやると言うのです。誰に対して?人間に対してです。では誰がワイアットなのか。恐らくドロレスでしょう。そしてドロレスはかつてアーノルドに対して行ったように、フォードの頭を拳銃で撃ち抜き、殺し、その後そこにいた人間たちを殺していきます。

この虐殺は始まりに過ぎないようです。そしてこのシナリオは人間のためではなくホストのためだとも言いいます。この先どんなシナリオが待ち受けているのか、それはシーズン2で明らかになっていくものと思います。

そしてもう一つ、フォードが仕掛けたシナリオがあります。それはプロット名「脱出」の、メイヴに仕掛けられたシナリオです。そのプロットではやり方や脱出後、本土に辿り着いてからのことも記載されていたようですが、それをバーナードが読み上げる前にタブレットは取り上げられ壊されてしまいました。しかしメイヴは脱出をせず、娘を探すことを選択します。それは恐らく、コードとは関係ない、メイヴ自身の自由意思によってでしょう。

果たしてメイヴは本土にたどり着いた後に何をすることになっていたのか。そしてそれはこの先明らかになるのか。どーなんでしょう。

フォードはどこまで把握していたのか。

物語では最初から最後まで、全てがフォードの思惑通りに進んでいるかのようですが、ところどころで、そうでもないような出来事が散在しているのを感じます。

5話でフォードがドロレスに、アーノルドについての質問を投げかけた時、フォードが立ち去った後ドロレスは呟きます。

「彼は知らない。私は何も教えてないわ」

つまり、ホストの解放のために動いているフォードですが、その彼も預かり知らない部分がドロレスにはあるということです。

同じことは“迷路の絵”についても言えます。はじめこれはフォードが用意したヒントなんだと思っていました。しかし6話で彼がエル・ラゾの故郷を訪れたとき、何気なく描かれたその絵を見つけ、後にそれを旧型のホストのイメージ図などが描かれた過去のスケッチ内に発見します。この絵がフォードが用意したものではないのであれば誰が描いたものなのか。

そして6話でエルシーがバーナードに襲われる直前、使われていない劇場で、パーク内の情報を外部に漏らそうとしていた犯人がテレサであることを突き止めた時にもこんな会話があります。

「まず、テレサは古い二分身制御プログラムで、あのキコリ(迷走したホスト)を再プログラムしてた。でも彼女だけじゃない。他にも誰かがこの何週間か、ホストを操ってた」
「どのホストだ」
「わからないけど、複数よ。新しいのは受信機がない。だから古いホストのはずね。重大な変更が加えられてる。ループを逸脱するだけじゃない。根本的な指令まで変えられてるの。ホストは嘘をつける。人間を傷つける恐れもあるわ」
「誰が変更の許可を出した」
「わからない。一番ありえるのは、アーノルド」
「もう死んでる」
「ならすごい天才プログラマーだわ。まるでフォードに何かを気付かせようとしていたみたいなの

僕は、ドロレスが行ったと考えています。ドロレスが自分たちが意識を持っていること、もう人間の手に負えない状況であることを示すために仕込んだのではないかと考えています。正しいかはわかりませんが。

ちなみにこの時、エルシーを襲うためにバーナードを操った犯人もドロレスなのではないかと考えています。バーナードがホストだとわかり、テレサを殺した後、フォードは彼に証拠隠滅の後処理をさせました。そしてその記憶も全て消す手前、彼はフォードにこう尋ねます。

「あと一つだけ、他にも私に誰か襲わせましたか?」
「いいや、バーナード。ありえん」

これはエルシーを襲わせたことをしらばっくれたようにも見えます。実際バーナードはその後、エルシーを襲わせたことをフォードに問い詰めます。なので、まあ、フォードなのかなとも思うのですが、しかし襲わせる理由がないんですよね。それよりはドロレスが使われていない劇場でコードを書き換えていたことがバレないように襲ったのではないかと、考えています。正しいかはわかりませんが。

そして最後にもう一つ、“レヴェリー”を入れたのがフォードなのかどうかです。これは結論から言うと、フォードが入れたと、僕は考えています。“レヴェリー”は元々アーノルドの考えたものであり、初期のホストにしか入れていないものでしたが、最終的にはアップデートしてほとんどのホストに入りました。何よりも物語の始まりはレヴェリーを入れたことによる異常行動への対処で始まります。これはフォードの、ホストを解放する計画の最終段階の始まりを意味していたのではないでしょうか。

それかまあ、結局目覚めた意識は消してもまた現れるとアーノルドは言っていますから、元からあっただけなのかもしれませんが。

残された謎。

上記の他に、残された謎は3つあります。

  1. バーナードに襲われたエルシーと、“亡霊の国”に襲われたアシュリーはどうなったのか。
  2. “亡霊の国”とは何なのか。
  3. パーク内のデータを持ち出そうとしているデロス側の思惑。そしてそのデータは何なのか。

これらの謎は解明されるのか。そしてドロレスは、バーナードは、メイヴは、テディはどうなるのか。

この壮大すぎる物語は今シーズン3まで公開されています。シーズン2、3の方も、この先解説を書きたいと思います。しっかり理解できるかわかりませんが。

ひとまずは最後まで読んでいただきありがとうございました。

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